米雇用悪化で追加緩和観測に拍車 「QE3決定的」との声も産経新聞 9月9日(日)2時2分配信 【ワシントン=柿内公輔】米国で追加金融緩和をめぐる観測が一気に加速してきた。8月の雇用統計が市場予想を大幅に下回り、米連邦準備制度理事会(FRB)が近く追加策に踏み切るとの見方が拡大。市場では、米国債の購入などで大量に市場にドル資金を供給する量的緩和第3弾(QE3)を期待する声も高まっている。
7日に発表された8月の雇用統計は、非農業部門の就業者数が前月比9万6千人増にとどまり、市場予想の13万人を大幅に下回った。米景気の「体温計」とされる雇用の停滞が浮き彫りになり、市場に大量のドル資金を流し込んで景気を下支えする金融緩和への期待が膨らんでいる。
すでにFRB内でも、景気回復が加速しなければ、「かなり早期に」追加策を導入するとの見解が大勢を占めており、12、13日に開く連邦公開市場委員会(FOMC)で追加緩和に踏み切るとの見方が強い。
市場では、2014年終盤まで続けるとしていた事実上のゼロ金利政策の延長に加え、住宅ローン担保証券(MBS)の買い入れなど大型の緩和策を導入するとの観測が多い。IHSグローバル・インサイトの主任エコノミスト、ナイジェル・ゴールト氏のように「QE3の導入は決定的だ」と言い切るエコノミストも少なくない。
FRBの判断は、11月の米大統領選の行方にも影響を与えかねない。再選を目指すオバマ大統領にとって、経済政策の要である雇用対策は最優先課題だからで、7日のニューハンプシャー州での演説でも「雇用創出のペースを速める必要がある」と強調した。
これに対し、野党共和党は雇用の低迷をオバマ政権の失政と批判する一方で、追加緩和には行き過ぎたドル安を招くと反対した。副大統領候補のライアン下院予算委員長も、同日のCNBCテレビで「まずい考えだ」とさっそくFRBを牽制(けんせい)した。
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